2006年12月04日

梶山弁護士の講演会

「灰溶融炉導入がもたらすもの  ~危険性と財政負担~  」 と題して、梶山弁護士による講演会が開催されました。
梶山正三弁護士は、「たたかう市民とともにゴミ問題の解決を目指す100人の弁護士の会」(ゴミ弁連)の会長。理学博士でもあります。

HPに載せるのが遅くなりましたが、まず先生のお話の中から「公害防止協定」についてまとめてみました。
「公害防止協定」を結ぼうと考えている方には、ぜひ参考にしていただきたい内容です。

   〔公害防止協定の危険性とぎまん性〕

◎「役にも立たない危険性の大きい施設を作らされ、そのために住民が税金という形でその多額の負担を背負う。」それがそもそもおかしいと言う問題意識が必要。 
◎ まず自分たちの手でごみ処理計画をもう一度見直し、将来こういう形で自分の地域のごみ処理をこうやっていく、という計画を本当は市民の手で作るべき。
◎ 公害防止協定は大変危険なものである。協定は今回の場合、逃げ道。むしろ作らないほうがいい。当分作らないのがベスト。
◎ 残された時間がどのくらいあるのか。その前に地域の皆さんでごみ処理計画をみなさんで見直して、ある程度長期的なビジョンなり計画的を作る時間があるのか。当面の計画を一時停止させるという事が可能なのかどうか、というのがまさに地域のみなさん方の課題。

≪環境保全協定(案)の概要≫

事集団の責務 :モデル廃棄物処理施設の整備
県の責務       :事業団の指導監督及び施設に対する連帯責任
生活環境等の保全 : 市、事業団の役割を規定
施設の運営管理 :施設運営管理検討委員会の設置(地域住民の代表、関係自治体、事業団等)
事故発生時の措置 :即時停止→ 調査・応急措置→ 報告→ 住民周知
報告       : 水質、大気等の検査結果を報告
立入調査       :市・市が認める者による立入調査の実施
損害賠償       :事業団は、将来にわたり損害を賠償し、県はこれを保証
協議・改訂      :協議事項への疑義、改訂の必要が生じたときの措置


これらは、いかにもいい制度に見えますけれど現実はぜんぜん違います。
これだけやってくれりゃあいいんじゃないの?と考える人が結構いると思いますが、こんな協定結んでも、大体役に立たないと思ってください。


≪公害防止協定のポイント≫
◎市町村だけを協定当事者としない
一部事務組合とどこが協定を結んだかということがひとつのポイント。
その地元の自治体だけが協定当事者となると、大変よくトラブルがある。
協定違反の事実に対して、協定当事者に住民が入っていないと、市町村がその協定違反の事実をついて、事業者に対して的確な対応をしない限り、住民自身は協定の当事者じゃないので何も物が言えない。
基本的に市町村だけを協定当事者とする協定はやるべきではない。むしろ住民と事業者だけでやるのが本則。

◎信頼できない相手は必ず協定破りをする
東京都日出町で、26市1町を構成団体とする一部事務組合を相手に12年間裁判をやっている。彼らの言うことは嘘だらけ。協定破りをしても、協定破りをしていないと常に言い張る。
公共だから嘘をつかない、悪いことをしないと思うのはだいぶ間違いで、ある面では民間事業者よりもたちが悪いと言うものはたくさんある。

◎住民の立入調査権に条件を付けない
住民が立ち入り調査をしようとした時によくあるのは、
「地元の市町村の担当者と一緒じゃないとダメだ」 
「事業者の業務に差支えがないように、前もって必ず言ってからでなきゃ立ち入りさせない」
それだと立ち入り調査としての効力がまったくない。
また、「市が認める者による立ち入り調査」などとすると、市と仲良くやってない人、市の方針が気に食わない人に対しては市がやだよって言うとその人は立ち入りができない。

◎協定違反事実の認定方法を必ず入れる
東京都日出町の協定は、協定の部分だけ見ると大変精密に、かつ細かく出来ている。
例えば風速5メートル以上の風が10分以上続いた時には、その日は搬入を停止すると、こう書いてある。しかし、台風が何回来ても、彼らは風速5メートルを超えないと言い張る。
そうするとそこで水掛け論になり、違反しているのかどうかと言う入り口でつまずいてしまう。
両者の意見が一致しない場合に、認定方法を必ず入れなければならない。
あるいは仲裁規定と言うが、認定できる第3者機関を必ず作る。第3者機関の認定には必ず従う、という事を入れなければならない。

◎協定違反判断の基準を「基準値」に求めない
例えば悪臭の問題。悪臭は人間がものすごく臭いと思う物でも、臭気測定あるいは臭気判定するとこれは全部クリアになる。人間のほうがずっと敏感。基準値というのはそれぐらいいい加減。
ほとんどの有害物質について基準値がないので基準値を守っていたって言うだけでは意味がないので、そう意味で言うと、違反に、協定違反基準値の基準を「基準値」にしてはいけない。

◎違反に対する措置に強制力を持たせる
紳士協定というのはでたらめ 協定の作り方が悪い。協定を作った時に違反事実を第三者機関に認定させる項目を入れる。
後で裁判所に行っても、紳士協定だとは言わせないことができる。

◎報告義務、データ開示義務は必須事項
「水質・大気等の報告では意味がない」アメリカ軍の代理人で産廃業者と裁判をやったときの話。アメリカ軍は数十億円をかけて2ヶ月間、毎日連続してダイオキシンを測った。
60日間で、一番高い時と一番低い時で、600倍の変動があった。
大気はその時の気象条件、風向き、煙の上がり方で常に変動する。月に一度測ってその時よかったでは話にならない。
単純に測った結果を報告させても意味がない。
 
◎業務日誌備置と随時閲覧
業務日誌を備えおいていつ誰でも見れるようにする。

◎定期協議、随時協議の規定を入れる
業者と少なくとも二週間に一度、顔をつき合わせて管理運営の方法、住民の被害を2時間ぐらいは話し合いの機会を設ける。
随時協議とは必要に応じてどちらかが求めた場合、もう一方は必ずそれに応じなければならない。

◎協定締結前に必ず専門家のチェックを
協定を作って後で泣くのは、協定に実効性、効力がないから。その気で作れば実効性のある協定は出来る。
実効性のある協定は相手が嫌がる。相手が嫌がるくらいの物も出ないと意味が無い。
協定は危険なもの。つくるなら徹底的に吟味して作らないと、後で後悔するのは皆さん。

貼り主: chiyoko 日時: 2006年12月04日 08:56
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