2006年02月17日

関口鉄夫さん

2月11日に 環境科学・地質学がご専門で、現在 長野大学非常勤講師の関口鉄夫さんの講演会がありました。

「ごみ問題を考える」    ~最新の灰溶融炉って、なんだろう~

関口鉄夫さんは、1950年 長野県生まれ。信州大学教育学部地学科卒業、教職を経て民間企業に就職。運送会社でアルバイトをしながら河川や廃棄物問題の調査・研究。1995年 長野県廃棄物問題研究会を設立。また、1998年 若月俊一賞受賞なさっています。

「ごみ問題」についての講演ももちろん、大変に勉強になったのですが、それ以上に関口さんの人間性・生き方の惹かれてしまいました。


 

1998年に受賞された「若月賞」については、今回始めて知りました。
1992年に、元・厚生省医務局長大谷藤郎氏の提案により、佐久総合病院の名誉総長・若月俊一氏の永年にわたる地域医療での実践活動を記念して「若月賞」が制定されました。
全国の保健医療分野で「草の根」的に活動されている方を顕彰するために制定された賞で、毎年行われる「農村医学夏季大学講座」で表彰式が行われ、発表後には基調講演があります。そのときの受賞理由として
「長野県下の産業廃棄物問題にとりくみ、産廃問題に対応する行政のあり方に厳しい提言を行いながら、住民と一緒になって問題解決に努力された功績は大きい。・・・・ また、1995年『長野県廃棄物問題研究会』が発足すると、その調研究責任者となり、『まず、現場を見て歩き、地元の人の話を聞く」』ことを信条としてねばり強い活動を続けた。その足で蓄積したデータと地域密着型解析手法は全国的な注目を集め、高い評価を得ることとなった。との事です。

今回の講演会は講師紹介が長くて感動的でした。
「若月賞」受賞のときの講演からの引用でしたが、ぜひご紹介したいと思います。

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昨日、実は何を話そうかなと迷いました。そんな時に、ふと学生時代に読んで、非常に記憶に残った一冊の本を取り出しました。「村で病気とたたかう」という本でした。まさか、いまこうしてその本の著者の賞をいただくことになるとは夢にも思っていませんでした。 学生当時、あの本を読んで感じたことがひとつありました。それは「村で病気とたたかう」というタイトルにもかかわらず、病気とたたかう内容ではなかった。そこにあったのは、医療という実践を通して、未熟で不合理な社会と格闘する著者の姿でした。社会の在り方とたたかっていた。そこに気づいて、私もできればこういう生き方をしてみたい。そんな思いをずっと抱いていました。
(中略)

 私は特別なことをしていたわけではありません。住民が廃棄物処理という公害の現場で頑張っている。それを少し専門的な面からお手伝いしただけのことなのです。だから、今回の受賞は、長野県内や全国でいろんな廃棄物の問題とたたかっている人たちの代わりにいただいたんだと思っています。
私が、廃棄物問題と取り組むようになったちょっとした理由があります。私は、かつて会社を経営していたことがあります。それがつぶれてしまったんです。家族とどうしたらいいか話合う余地もないほど借金に追い込まれた時期もありました。そのとき私は非常に弱かった。一週間ぐらい行方不明になってしまった。そう、現実から逃げてしまった。
(中略)
 でも、死ぬこともできず帰っていった時、呆れて腹を立てているはずの家族は何も言わず、普通に迎えてくれました。その時、「自分の一番好きなことをやったら」というのが女房や父親の言葉でした。私は好きな地質学を生かしながら、環境問題を勉強してみようと思いました。ただ、何か希望をもっていなかったら生きていけないような気がしたから、そう思い込んだのかも知れません。
 電気も水もない廃屋のようになった自分の工場で、トラックの深夜便の勤務が終わるとただひたすら本を読み続けました。日の出の遅い季節は、陽が上がるまで蝋燭をたてて読み続けました。はじめは、ただ他人に合いたくないという実にわがままで自分本位の理由でした。環境学というより、学生時代に読んだ哲学や科学論の本が主だったと思います。その中に「村で病気とたたかう」という本もありました。学生時代とは違って、一字一句が大脳の中に整然と入っていくように感じました。そんな時に、ふと「生まれ変わろう」と思ったことを鮮明に覚えています。
(中略)

そして、「河川調査のあいまに、地域住民の相談にのっていた廃棄物の問題を、本気でやってみよう」と決めました。それからは、本当に無我夢中で現場を歩いていました。時には車のハンドルを壊されたこともありましたが、しつこく業者を追い続けたりもしました。家族にも仕送りをしなければなりませんから、本当に貧乏な生活でした。ガソリンスタンドで五百円分だけ入れてもらったり、エコー(たばこ)を買うために半日部屋を掃除して、小銭を見つけていたのはこの頃です。そんな生活が三年近く続きました。
 こんな惨憺たる生活の中で、「人間というのは、一度死んだってまた生きかえることができる。形を変えなくても自分の人生をやりなおせる」ということを痛切に感じました。私のような怠け者は、とことん落ちてみないと、本当に苦しい目にあって見ないとまともな人間にはなれないようです。


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詳しい《表彰理由》と《著書・意見書等》は以下のアドレスで。
http://www.valley.ne.jp/~sakuchp/gyouji/daigaku/Mr_Sekiguchi.htm

関口さんは、全国でごみの処分場に関わるさまざまな委員会や裁判などにも関わっていらっしゃいます。


★ ここ数年間にかかわった主な調査・委員会等
 ・上山田町環境と健康に関する影響についての学術調査団 事務局長 (平成11~13年 長野県上山田町)
 ・滋賀県栗東市 廃棄物処理施設調査委員会専門委員(平成13,14年 栗東市)
 ・沖縄県平良市 事故調査委員会委員長(平成14年 平良市)
 ・長野県 廃棄物処理施設検討委員会委員(平成14年~17年 長野県)
 ・長野県牟礼村 環境・健康調査委員会 (平成13年~16年 牟礼村)
 ・山梨県須玉町 処分場調査委員会専門委員(平成13年~15年須玉町)
 ・長野県 戦略アセスメント部会委員 (平成15年~17年 長野県)
 ・長野県北御牧村 環境調査委員会専門委員会座長 (平成15年 北御牧村) 
 ・山梨県明野村 廃棄物問題検討委員会 専門委員 (平成15年 明野村)

★ 地域からの疫学調査委託 所沢市下富自治会、狭山市原自治会、神奈川県緑丘団地他

著作・共著など、
「ごみは田舎へ」(1998)、「田中県政への提言」(2001)、「県議ふしぎ発見」(2003)など
 
★ 調停・裁判等への関与
 埼玉県所沢市焼却・破砕施設の操業停止に関する裁判、伊那市焼却施設の操業禁止に関する裁判、駒ヶ根市焼却施設の操業禁止に関する裁判、美麻村最終処分場の操業禁止に関する裁判、宮田村処分場の操業禁止に関する裁判、沖縄県平良市健康被害に関する損害賠償請求裁判、茨城県水戸市処分場の建設の禁止に関する裁判、徳島県阿波町焼却施設の操業禁止に関する裁判、千葉県海上町処分場の操業禁止に関する裁判、埼玉県所沢市の疫学調査に関する公金の違法支出に関する裁判、長野市破砕施設公害調停など


これだけでも、どれだけ精力的に活動なさっている方か、よく分かります。

今回の講演に当たっては、「現場を見ておきたい」と午後1:30からの講演のところ、午前中から富士見入りして、灰溶融炉建設予定地付近を見て回ってくださいました。
自称「イノブタ」猪突猛進、とにかくよく動く方でした。車を止めては歩いて見て回りました。ちょっと目を離すと、10mも先を歩いていました。一緒に歩いていて、なんて自分たちが無知であるかを思い知らされました。
午前中1時間半ほど一緒に歩いただけで、すでに私の頭は許容量を大きく上回り、整理のつかない状態に陥ってしまいました。

頭が麻痺状態で、メモをとる手がほとんど止まっていたのですが、そんな状態でしたが、心に残った 「関口語録」

・検討委員会のメンバーは現場を見ているのか。
・政策としてなぜ灰溶融炉が必要なのか。
・まず問題の灰溶融炉の原理的なことを知って、何が問題なのかをみんなで考え議論してほしい。
・バグフィルターは気化した重金属を通してしまう。通さないために目を細かくしたら目図まりして役に立たなくなってしまうだろう。
・ある自治体の例。スラグを1トン作るのに5万5千円かかる。そのスラグを1トン500円で業者に売った。しかし、その業者でも需要がなく、自治体の公共事業で、700円で行政が買うことになった。
・優良な材料があるのに、スラグを使わない。経済的な循環に乗らない。
・「使っている農家がいるから堆肥を作る」と言う考え方をしないといけない。
・プラスッチクは燃えにくくする・形を整える・劣化を防ぐために添加剤が重量比の5~40%入っている。
 それが、常温でも揮発して薬物の能力がなくなるとプラスッチクは壊れる。常温のままでも、科学物質は発生している。
・ごみを減らすことに専念しよう。ごみ問題から開放されて無駄な税金を使わないですむようになる。
・スラブの安全性を確かめる実験を、中性の水でやっている。酸性雨の時はどうなのか。PH5.7を PH4にするだけでも値は随分、変わってしまう。
・谷沿いで起こる空気の低位逆転層の危険性。
・地域には地域の意思決定の仕組みがある。住民を信じた運動をすべきだ。

私が強烈に印象に残ったのは、いつも見慣れている胎児の写真でした。
私たち大人が受ける影響とは比べ物にならないほどの影響を,胎児は受けることになるのだと言う話です。
そのことについても、若月賞受賞の時の基調講演でおっしゃっていますので紹介します。

「人は受精によって命を宿します。しかし、受精を終えた細胞は決してヒトではありません。卵割を始めると同時に、その個体は、今まで地球上の生命がたどった命の歴史、つまり系統発生を繰り返すのです。そして、胎盤ができる直前の胚子の終わりごろ、ようやくヒトとしての形・機能をもち性の選択を終えます。このころは、母体が赤ちゃんの環境のすべてです。胎盤ができてようやく、ごく一部の物質について赤ちゃん自身の選択が可能になりますが、胎児だって母体がすべての環境であることに変わりはありません。
 このような命の発生過程での化学物質の作用が、環境ホルモンやダイオキシン問題の深刻さの最大の原因と考えなければなりません。もちろん、これらの化学物質は誕生の後の成長の過程でもさまざまな作用を及ぼします。化学物質の問題は、DNAの損傷ということを考えれば、ヒトそのものの破壊と考えなければならないと思います。」

貼り主: chiyoko 日時: 2006年02月17日 17:50
コメント

3月13日の午後6時にNHK甲府で放送されたニュースの動画をUPします。


富士見でも採用が検討されている日立造船製の灰溶融炉が
爆発するシーンは圧巻 とくと御覧あれ

http://www.kaikoma.jp/misc/haiyouyuuro_premium.wmv


貼り主: 謎の中澤 日時: 2006年03月14日 20:45
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