コダイカナルは、昔インドがイギリス植民地だった時に避暑地として開拓された山の頂上にある町です。年中涼しく、夏には外国はもちろん、インド人の観光客も後を絶ちません。その町の中心ともいえるのが、私も通うKIS(コダイカナル・インターナショナル・スクール)です。
もともとインドで活動しているアメリカの宣教師たちが、我が子たちのために作った学校で、今もアメリカの教育制度で運営されていますが、その建物は、インドがイギリスの文化から受け継いだレンガ作りの英国風建築です。私の一番好きな風景と言えば、学校中が霧に包まれ、まるでおとぎ話の中にいるような不思議な雰囲気の時です。


そういう時、私は決まってロード・オブ・ザ・リングのCDを聞きながら散歩に出ます。この魅力を分かってくれる友達は少ないのですが、(笑)いつも本や映画の中には入れたらと思い続けている私ですから、これは疲れたときの現実を忘れられる最高の楽しみです。
たまに、実際、ハリー・ポッターの本の中の様な感じがする時もあります。特に、さまざまな顔ぶれの先生たち・・・。これがまた、本当に不思議だったり面白い先生がいるのです。
つい最近までアメリカ大物ポップスターのプロデューサーだった怖い音楽の先生。いつも顔を真っ赤に「この世界は農業で救われる」と教え続けている若い地理の先生。気がつくと、窓の外で校舎の壁をロッククライミングしている変な生物の先生や、しゃべりだすとジョークばっかり、生徒たちの頭をバシバシ叩いて、「調子はどうだ!」と挨拶し回っている子供精神たっぷりのSOEXの先生。(この先生の奥さんは、胃袋底なしのワンパク生徒たちのために毎週火曜日には手作りクッキーを焼いてきてくれます。最も、いつもこの2人はかなり盛り上がってるので、張り合う程のテンションになるまで、クッキーに手を触れるのにはかなり度胸が入ります。(ここら辺がなんか分かりづらいんだけど・・・分かる?Papa:分からない)私も1年かけて、今ではクッキーを1枚以上とって逃げる常習犯となりました!)
先生たちの教え方はさまざまですが、授業を受けて感じる事は1つです。「自分自身考え・疑問などを、きちんとした根拠や例、理由によって他人に表す事ができる能力」を求められていると言う事です。必要があれば討論をしてでも問題に対する自分の意見を主張したり、相手の立場・意見を理解する事を学びます。間違う事は学ぶ事だと理解する事も勉強の1部に入っています。又、それぞれの生徒に託される選択も幅広いです。それにどの教科でも、生徒たちの質問はとどまるところを知らず、手を上げない人がいないくらい。(ほんとかいな!?)そして、体で体験する機会が多いです。
例えば、理科の実験は週に1回。きちんとレポートの中で質問に答えたり、実験の目当てと理由、予想、やり方、観察、データ、結果、感想までをまとめます。班でやっても、レポートは個人別に内容の濃い、興味深いものを書かなくてはいけません。採点もされます。もちろん観察結果や、それについてどう思うなどは、よっぽど間違ってない限りはバツにはなりません。それぞれの考えを否定せず、先生たちは「それはいい発想だ」とか、「ここをこうしてみるとどうなっただろうね」など、もっと生徒に意欲を引き立てさせるコメントを書いてくれます。
私は日本の学校で実験をした記憶がほとんどありません。だからテストなどに出ても、実際触れ、体験していないものは想像しにくかったし、記憶に残りにくかったと思ます。
若い地理の先生も、ユニークな授業で人気の先生です。突然みんなに「貧乏な百姓」とか、「空港会社」、「観光会社」、「年寄り」、「若者」、「政府」などの札を渡し「さあ、ここに1つの小さな島がある。みんなはこの島のさまざまな住民で、ある空港会社のある説明会に呼ばれて来ている。この会社は、この島のこの条件があるここの土地に、新しい空港を建てたいと言っている。今日することは、それぞれの立場から、そのデメリットとメリットをみんなと討論する事。そして政府役は、島としての、立てるとした時の条件や、立てないのならその理由を、授業の終わりに報告する事。」
そう言って先生は、教室の隅に座って終わるまで全然口を出しませんでした。クラスは大興奮。政府役が中心となって、大討論会です。ちなみに私は「有機農業家」でした。この授業は、環境、健康、政治、経済、観光、文化、などなどの要素を含めて深く考えなくてはなりませんでした。
例えば、
政府:「・・・じゃあ、観光会社の言い分は何ですか?」
観光会社:「私たちは賛成です。なぜならその空港のおかげでこの島は観光で儲けて、経済的発展をすることが出来るからです。」
農業家たち:「そんな事言って、この島の農業に及ぶ影響がわかっているのか?空港開発で潰される土地はおろか、観光でどんどん建てられる建物、ホテル、道路による汚染される農地、水、空気などのことを考えてくれ!」
文化協会:「それだけじゃない。文化だって、この島の誇る古い文化はどうなるんだ。欧米化が進むぞ・・・」
若者:「でも、私たち若者にとってはその方がいいし・・・空港のおかげで職業難も減るだろうね。」
年寄り:「だめだ!文化が薄れて行くのは見過ごせん!」
政府:「でも、実際今のままでは皆さんの収入も少なく、なにかこういう物が必要な時期だとは思いませんか?・・・」
などなど・・・。みんなはもう役になりきってしまいました!結局話し合いは、政府と空港会社と観光会社が協力して、空港の規模を小さく、観光者の数や彼らへの観光の決まりを取り締まって、環境や文化を守るように建物や汚染などにも気をつける事で決まりました。それが出来れば現実でも苦労しないと思うけど、結局お金が絡んでくると難しいと言う事まで話し合いました。こういうことこそ、本当に社会に出たとき役に立つ、かつ面白い勉強ではないだろうかと、つくづく思った授業でした。
やっぱり、葉っぱ1枚でも教科書で見るのと実際に外に出て見るのとでは、勉強の質も違えば興味深さも違ってくると思います。KISにも短所はあるけれど、私がここまで勉強するようになった事をに感謝しています。
今、思い返してみると 私は日本の学校、特に高校では、もどかしくてたまらなくつまらない思いをしました。どの授業も、聞き逃すだけ。勉強しよう、したいと思っても、面白みも意欲もわいてきませんでした。KISに行って、初めて「なるほど!これだ!」と思いました。今まで溜まっていた疑問が爆発するように出てきて、先生たちもそれを受け止め、もっと勉強したくなるような質問を私にも浴びせかけてくれました。宿題の量も半端ではありません。特に英語がほとんど出来ない状態で来た私には、かなり大変でした。日本にいたときの遅れを取り戻すかのように元気が、意欲がわいてくるのです。
「勉強って、こんなに楽しかったのか・・・」KISでの授業はそう気づかせてくれました。
貼り主: chiyoko 日時: 2004年07月27日 10:00いいと思う
貼り主: tushar 日時: 2007年07月10日 22:37