泰阜村、松島村長のお話
泰阜村の財政自律(立)計画
基本的な考え 『入るを量りて、出を制す』と言う財政の基本原則に立ち返り、収入のあるだけで運営していく覚悟を決めることが「自律(立)」への道であり、まずは歳入の見通しを立てた上で、それに見合う歳出の削減策を検討する。
泰阜村は地図で見ると周辺部でもなく「十分合併できるじゃないか」と言われるかもしれないが、後ろは山、前は天竜川、横は谷と言う所にあり、地図だけでは分からない山村である。
H11年から段階補正が始まったのでH10の交付税が一番多い。
普通交付税だけを単純に比較するとH15比では33%減っている。
臨時財政対策債の約1億5千万を入れてもすでに地方交付税は12%は減っている。
総務省の交付税課長が来年度以降の見通しとして
「まず、国が方針を決めなければ私どもでも先のことは分からない。勿論地方財政計画の歳入、歳出はバランスさせなければならず、収支不足になるような交付税額にしたり穴が開いたような財源対策にする訳にはいかない」と言っている。
これは多分市町村の事を考えている総務省の心ある皆さんの見解だと思う。
泰阜村ではH15年を基準にして17%の減を見込んでいる。根拠はないが逆に言えばこのくらいが限度だろうと言うのが根拠である。
支出の削減方法(その1)
★役場機構・事務体制の見直し
①「民間に委託できるものは民間に」→委託による活性化
*村営バスの運行、やまどり館・若者センターの運営の民間委託(△5,232千円)
「民間に委託できるものは民間に」はキャッチフレーズで、過疎の山村と言うのは公共交通を初めとしてあらゆる公共的なサービスが消えて行ったところである。
もう社会主義的なことをやらないと過疎の山村の弱者は救えない。
従って「民間委託したような形で公がやる事を想定したい」と思っていいる。
②年功序列賃金に合わない職務の委嘱化
*学校用務員、学校、保育所の料理員の委嘱化(△14,960千円)
③職員の守備範囲の見直し(「住民にできる事は住民に」)→住民参加の促進
★職員等における人件費削減
H15年度予算で3億7千万余の人件費を20年度には3億円程度に圧縮する。
*特別職給与:H16年度から、村長20%カット、収入役・教育長5%削減(△3,766千円)
*委員等報酬費:教育委員・農業委員会委員の定数削減、月額・日額等の非常勤特別職報酬の見直し(△1,897千円)
*一般職職員給与:職員数をH25年度までに8人減少させる。(△42,610千円)
職員については8人減は自然減で、給料カットは文書には入れたが歳出計画の金額の中には入れていない。
これ以上地方交付税が減った時に最後の手段で職員給料カットはやろうと思っている。
支出の削減方法(その2)
★事業・補助金の見直し
・住民サービスに関わる事業や補助金に関しては、事業費の20%削減を原則とするが、事業の必要性を精査の上、事業によって
①継続・現状維持
②30%以上の削減
③廃止
など、メリハリをつけた見直しを行った。
しかし、たとえば区会長さんが一日役場にきてくれたら5千円払っていたものを2割カットで4千円にしても、確かに効果はあるが大型にはならない。
★事業等の見直しによる削減
一般ベースの中の人件費が中心にならざるを得ない。
民間的な公務員になってもらう。
特別擁護老人ホーム、広域連合の施設だが運営を民営化しようと言う話がある。
新たに作る社会福祉法人に委託しようと思っている。いままでは村の職員の身分だった。嫌な事は村長が自らがやらなければいけない。
全員の皆さんに「来年の3月31日で止めて欲頂きたい」と言った。民間に身分を落としてもらう。
右肩上がりの賃金ではなく民間並の給与体系に移行してもらうとお話した。
所長、係長、事務家は役場からの派遣だが、所長が「そういうことなら私も辞めます」とありがたい事を言ってくれた。
保育園は2つあり、運営8千万かかっている。補助金で2,700万あるので5千万くらい村が持ち出している。
これも社会福祉法人に委託しようと思ってる。
保育園の園長の給料の見直しも考え、一回辞めていただく事も考えている。
たとえば、給食センターに委託する方法でなく、給食の調理員の皆さんを民間と同じくらいの給与で働いてもらう。と言う考え方でいいんじゃないか。
これが今わが村で出来る最大限。
住民負担は求めずに、我々の内部改革でしよう、と言う案。
歳出の中で何が大変かと言うと公債費が普通会計の歳出の2割を超える状況。
ここを解決できれば少しは楽になる。
仮に元本残高の多い過疎債を「長野県市町村振興資金」で借りかえることができれば、償還額の一時的な緩和を図ることが出来る。
簡易水道事業をH2年~6年に行った。一番金利の高い時であり5~6%利子を払っている。
今のところ国が認めてくれないが何とか「借り換え」と言う道を開いていただけないかということも考えている。
起債償還を先送り先送りする事や3年間据え置きなどして、一番苦しい4~5年を乗り越えれれば一定のめどがつくんではないかと思っている。
これでできなくなった時に県のお金や連合などを考えて行きたいと思っている。
本当にこれで自律できるのか?
臨時財政対策債、あるいはそれに近いものはたぶん今後3年間は継続せざるを得ないだろう。
人件費もH9年からH14年までに4億8千万から3億8千万に減らした。これも大変な努力なのだ。
朝日新聞に私の意見が出た時に、励ましのお便りもたくさん頂いたがいろんな批判も頂いた。
「そんな事は当たり前のことでいい気になるな」
「都市の税金を一円も使わずにやるならいいが、都市の税金を使って生意気言うな」
と言う意見もあった。
以上
☆彡 最後のお話は本当に残念な話です。
「都会の税金を使うな」と言い始めたら、農山村で守っている水を飲むな。空気を吸うな。って話になりかねませんよね。
今回の勉強会の中でもありました。国土の47%を占める農山村を、人口で言うとわずか7%の人々が支えているのだそうです。
国中が都市化されてしまったら・・・?
そんな事、考えたくもありません。
主人は車を走らせていると、時々ため息をつきます。
「本当に日本は美しい国だね」と。
松島村長の書かれた「安心の村は自律の村」と言う本で村長は次のように書かれています。本の中で泰阜村の歴史満州移民に付いての文章ですが、
『いつの時代も国策に左右されながら、犠牲となるのは、国策を決めた人たちではなく一般庶民であることに深い怒りを覚える。国策を選んだゆえなる不幸を抱えたこの史実をどうかんがえたらいいのだろうか。』